(消費税還付の仕組み)
消費税は、消費をする人(消費者)がお店(事業者)から、ものを買ったり、サービスの提供を受けたときに、ものやサービスの代金と一緒に事業者に支払います。事業者は消費者から消費税を一時預かるわけです。
その事業者も、材料を仕入れたときに消費税を仕入れ代金と一緒に仕入れ業者に支払います。
つまり、事業者は、消費者から消費税を預かりますが、仕入れ業者に消費税を支払ったりもします。預かった消費税と、支払った消費税があるわけです。
事業者は預かった消費税を、後日、税務署に支払います。そのとき支払った消費税を差し引いて税務署に支払います。預かった消費税よりも、支払った消費税が多いとき、その差額を税務署から消費税還付金として返還を受けることが出来ます。これが消費税の還付です。
太陽光発電の場合で説明します。
まず太陽光設備を5500万円で購入したとしましょう。そのとき消費税の支払いが500万円発生しています。そして売電収入が初年度550万円(消費税込み)あったとしましょう。消費税の預かりは、売電収入の中の50万円です。
預かった50万円よりも支払った500万円が多いので、その差額の450万円が初年度分として税務署から還付されるということです。これが消費税還付の仕組みです。
(消費税の還付が受けられないときがある)
ところが、上の説明は、原則的な「課税事業者」の場合のことです。
消費税には「免税事業者」という、小規模事業者の特例があります。「免税事業者」は、預かった消費税の税務署への支払いは手続きが煩雑になるので、大変だということで、消費税の支払いが免除されます。その替わりに、消費税の還付も受けられないわけです。
(「課税事業者」と「免税事業者」のちがい)
太陽光発電に関わらず、消費税については、基準期間における「課税売上高」が1000万円を超えるかどうかで決まります。
課税売上高(税抜)1000万円以下の事業者は、消費税の納税義務がない、「免税事業者」とされ、1000万円以上の売上がある事業者は「課税事業者」となります。
(「課税事業者」と「免税事業者」、どちらが得か)
20年という長い期間を考えれば、免税事業者の方が得です。先ほどの例で言えば、20年間で預かる消費税は、50万円×20年=1000万円です。支払う消費税は1000万円です。1000万円-500万円=500万円が、いわゆる「益税」となるわけですから。
(いいとこ取りの方法がある)
ところが、いいとこ取りの方法があります。本来は「免税事業者」でも、届け出をすれば「課税事業者」になり、消費税の還付を受けることが出来ます。
太陽光発電設備を買った時に、「課税事業者」を選択し届けて、消費税の還付を受けておいて、その後、「免税事業者」に戻り「益税」を受け取る方法です。
ただし、還付を受けた直後に「免税事業者」に戻るという極端な方法は認められておらず、いったん「課税事業者」を選択すると、その後3年間は「免税事業者」には戻れないという縛りがあります。しかしその後は課税売上が年間1000万円を超えない限り「免税事業者」として、合法的に「益税」を受け取ることができるのです。
このいいとこ取りの方法は、一見ずる賢い方法に見えるかもしれません。しかしそうではありません。
消費税法が「免税事業者」にも「課税事業者」を選択することで、消費税の還付を受ける道を開いているのは、消費税が「付加価値税」の性質をもっているところに帰因しています。
消費税の還付を受けることが出来るのは、売上税額から、まず課税仕入れに含まれていた税額(仕入税額)の控除を行う「仕入税額控除」という制度に基づくものですが、この「仕入税額控除」は、税負担の累積を排除し、「消費税」を付加価値税の性質を持たせるための、「制度の骨格」をなすものと言えるのです。決して「いいとこ取り」という問題ではなく、納税者の当然の権利です。弊社は自信をもって還付申告を承っています。